IPアドレスとサブネットマスク — どこまでが「町名」か
192.168.10.130 のようなIPアドレスは、実は1つの数字ではありません。前半が「どのネットワークか(町名)」、後半が「その中のどの機器か(番地)」という2つの部分の合体です。
では、どこまでが町名で、どこからが番地なのか? それを決めるのがサブネットマスクです。住所の上に重ねる「型紙」のようなもので、型紙の窓から見える部分が町名、隠れた部分が番地になります。下の図1のスライダーを動かして、型紙の境界線をずらしてみてください。
境界線1つで、町の広さが激変する
図1で試したとおり、境界線(プレフィックス長)を1ビット右に動かすたびに、番地に使えるビットが1つ減り、町に置ける機器の数は半分になります。/24なら254台、/16なら約6万5千台、/8なら約1,677万台。「192.168.10.0/24」のようにスラッシュの後ろに境界線の位置を書く記法をCIDR記法と呼びます。
なぜこんな仕組みが必要なのでしょうか。ルーターは宛先IPアドレスを見て道案内をしますが、世界中の機器の住所を1台ずつ覚えるのは不可能です。そこで「この町宛てのものは全部あっちへ」と、町名(ネットワーク部)だけ見てまとめて転送します。郵便局が「東京都宛て」の束をまず東京に送り、番地は最後の郵便局員だけが見るのと同じです。
また、機器の数が2台引かれているのにも理由があります。ホスト部が全部0のアドレスは「町そのものの名前」(ネットワークアドレス)、全部1のアドレスは「町内全員への一斉放送」(ブロードキャストアドレス)として予約されているからです。
- サブネットマスク
- IPアドレスのどこまでがネットワーク部かを示す「型紙」。255.255.255.0 のように書く。
- CIDR記法
- 192.168.10.0/24 のように、ネットワーク部のビット数をスラッシュで書く記法。
- ブロードキャスト
- ホスト部が全部1のアドレス宛てに送ると、町内の全機器に届く一斉放送になる。
まとめ
IPアドレスは「町名+番地」の合体で、その境界線を決めるのがサブネットマスク。境界線を1ビット動かすだけで町の広さは倍・半分に変わり、ルーターは町名だけを見て道案内をする — これがインターネットの住所システムの土台です。自宅のWi-Fiルーターの設定画面で「255.255.255.0」を見かけたら、それは「この家は254台まで住める町ですよ」という意味だったのです。