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OSI参照モデル — 7階建てビルで封筒を重ねる

ネットワーク 2026.09.28 公開 読了 約10分

ネットワークの話をしていると「L3スイッチ」「L7ロードバランサ」のように、数字つきのLがよく出てきます。この数字の出どころが OSI参照モデルです。通信の仕事を7つの階に分けて、「どの階が何を受け持つか」を決めた地図のようなものです。

たとえるなら7階建てのビルです。送る側は用件を7階で書き、エレベーターで1階まで降りながら各階で封筒を1枚ずつ重ねます。受け取る側は1階から上りながら1枚ずつ剥がします。この「重ねて、剥がす」をカプセル化と呼びます。図1で1階ずつ進めてみてください。

ENCAPSULATION — 降りながら封筒を重ね、上りながら剥がす
📤 送信側(ブラウザ)
📨
7F アプリケーション層用件そのもの
6F プレゼンテーション層表現をそろえる
5F セッション層会話の区切り
4F トランスポート層どのアプリ宛てか
3F ネットワーク層最終宛先の住所
2F データリンク層隣の機器まで
1F 物理層0と1の信号
2F Ethernet 宛先MAC FCS(チェック値)
3F IP 宛先 203.0.113.10
4F TCP 宛先ポート 443
5F 会話の区切り
6F 形式・暗号
7F HTTP GET /index.html
✉️ 「index.html をください」
ケーブル
📥 受信側(Webサーバー)
📨
7F アプリケーション層用件そのもの
6F プレゼンテーション層表現をそろえる
5F セッション層会話の区切り
4F トランスポート層どのアプリ宛てか
3F ネットワーク層最終宛先の住所
2F データリンク層隣の機器まで
1F 物理層0と1の信号
図1 — 封筒は7階が一番内側、2階が一番外側。1階は封筒を増やさず、信号に形を変えるだけ

同じ階どうしだけが、話を通じ合える

図1の受信側で封筒を剥がすとき、送信側の同じ階が光るのに気づいたでしょうか。受信側の4階が読むのは、送信側の4階が書いた封筒だけです。4階は中の5〜7階の封筒を開けませんし、外側の2〜3階の封筒のことも知りません。

この決まりのおかげで、各階は自分の仕事だけに集中できます。たとえば2階の配線がEthernetからWi-Fiに変わっても、3階より上は何も変えずに済みます。Webブラウザを作る人が、ケーブルの電圧を気にしなくてよいのはこのためです。

TCP/IPの4層とは「数え方の違い」

実際のインターネットは、TCP/IPの4層で説明されることが多いです。これはOSIの5〜7階をまとめて「アプリケーション層」、1〜2階をまとめて「リンク層」と数えたものです。ルールそのものが違うわけではなく、同じビルを何フロアで区切るかの違いと考えてください。

OSIの7階建てが今も使われるのは、「何階の話か」を指さすのに便利だからです。「L2で止まっている」「L7で振り分ける」と言えば、どの封筒を見ている話かが一言で伝わります。図2で、機器ごとに何階まで封筒を開けるかを比べてみましょう。

DEVICES — その機器は、何階の封筒まで開けて読むか
7F アプリケーション層 HTTPの中身(URL・ヘッダ)
6F プレゼンテーション層 文字コード・圧縮・暗号
5F セッション層 どの会話の続きか
4F トランスポート層 ポート番号・通し番号
3F ネットワーク層 IPアドレス
2F データリンク層 MACアドレス
1F 物理層 電気・光・電波の信号
図2 — 深い階まで開けるほど細かい判断ができる。その代わり、中身を読む手間もかかる
用語ミニ辞書
OSI参照モデル
通信の仕事を7つの層に分けて整理した共通の地図。「L3」「L7」の数字はここから来ている。
カプセル化
送る側が層ごとに情報(ヘッダ)を付けて包んでいくこと。受け取る側で逆に剥がすのを非カプセル化と呼ぶ。
ヘッダ
各層が付ける封筒の宛名書き。宛先やポート番号など、その層が必要な情報だけを書く。
MACアドレス
2階の宛名。隣の機器を指すので、ルーターを通るたびに付け替えられる。
IPアドレス
3階の宛名。最終目的地を指すので、途中で基本的に変わらない。
ポート番号
4階の宛名。届いたコンピュータの中で、どのアプリに渡すかを指す。

まとめ

OSI参照モデルは、通信を7階建てのビルに見立てた地図です。送る側は降りながら封筒を重ね、受け取る側は上りながら剥がします。各階が読むのは相手の同じ階が書いた封筒だけなので、ほかの階が入れ替わっても影響を受けません。「L2」「L7」と聞いたら、何階の封筒を見ている話かを思い出してください。