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ブロック・ファイル・オブジェクトストレージ — 升目と本棚と直置き倉庫

インフラ 2026.10.02 公開 読了 約9分

クラウドでデータを置く場所を選ぶと、ブロック・ファイル・オブジェクトという3種類のストレージが出てきます。どれも「データを保存する場所」ですが、ストレージ自身が何を知っているかがまったく違います。

たとえるなら、ブロックは番号だけ振られた升目、ファイルはフォルダで仕切られた本棚、オブジェクトは番号札をつけて床に直置きする巨大倉庫です。図1で、同じ写真 photos/2026/cat.jpg を3か所に置き、上から順に操作してみてください。

STORAGE — 同じ写真を、升目・本棚・倉庫に置いて比べる
🧱
ブロック 番号だけの升目
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23
サーバーのOSの手帳 (まだ何もない)
🖥 srv-1 🖥 srv-2 🖥 srv-3
送ったデータ —
📚
ファイル フォルダの本棚
  • 📁 /
    • 📁 docs
    • 📁 photos
      • 📁 2025
      • 📁 2026
        • 📄 cat.jpg
🖥 srv-1 🖥 srv-2 🖥 srv-3
送ったデータ —
📦
オブジェクト 札つき直置き倉庫
📦 img/logo.png📦 backup/2026-09.dump📦 logs/app-0930.gz📦 videos/intro.mp4 📦 photos/2026/cat.jpg type: image/jpeg · 撮影日: 9/30 v1
🖥 srv-1 🖥 srv-2 🖥 srv-3 🌍 ブラウザ
送ったデータ —
🧱 ブロック📚 ファイル📦 オブジェクト
保存のしかた ———
一部だけ直す ———
3台から同時に ———
よく使う場面 DBやOSのディスク チームの共有フォルダ 画像・動画・バックアップ
図1 — 写真は5MB、ブロックの升目1つは4KBとして数えている(升目は4つだけ描いている)

ストレージは「何を知っているか」が違う

ブロックストレージが知っているのは「何番の升目に何が書いてあるか」だけです。そこに cat.jpg という名前の写真がある、ということは知りません。升目のどこが cat.jpg なのかは、つないだサーバーのOSが手帳(ファイルシステム)に書いて覚えています。パソコンに挿したハードディスクと同じ立場です。

ファイルストレージは、その手帳ごとストレージ側が持ちます。だからフォルダの階層や名前が分かり、ネットワーク越しに何台からでも「photos/2026/cat.jpg を開いて」と頼めます。

オブジェクトストレージにはフォルダがありません。photos/2026/cat.jpg は、スラッシュも含めて1つの長い番号札(キー)です。棚をたどらず札で直接取り出せるので、何十億個置いても探す手間が増えにくく、説明札(メタデータ)も自由につけられます。

途中だけ直せるか、どこからでも使えるか

「✏️ 写真の一部だけ直す」では差がはっきり出ます。ブロックとファイルは変わった升目(4KB)だけを書き換えられますが、オブジェクトは5MBまるごと置き直しです。少しずつ何度も書き換えるデータベースのディスクに、オブジェクトストレージは向きません。

反対に「🖥 3台のサーバーから使う」では、ブロックが苦手です。升目の手帳を持っているのはつないだ1台のOSだけなので、ほかのサーバーが同時に書き込むと手帳と中身が食い違い、データが壊れます。ファイルは共有フォルダとして数台から、オブジェクトはHTTPでブラウザからでも直接読めます。

用語ミニ辞書
ブロックストレージ
決まった大きさの升目(ブロック)に番号をつけて読み書きするストレージ。サーバーにディスクとしてつなぐ。例: Amazon EBS。
ファイルストレージ
フォルダとファイル名で整理し、ネットワーク越しに共有できるストレージ。例: NAS、Amazon EFS。
オブジェクトストレージ
データを丸ごと1つの「オブジェクト」として、キーとメタデータをつけて置くストレージ。HTTPで出し入れする。例: Amazon S3。
ファイルシステム
どの升目に、どのファイルのどの部分が入っているかを管理する仕組み。OSの手帳。
メタデータ
データそのものではなく、データについての情報。種類、作成日、作成者など。

まとめ

3つの違いは「ストレージがどこまで知っているか」です。番号しか知らないブロックは速く細かく書けるが、1台専用。名前とフォルダを知るファイルはみんなで共有できる本棚。札だけで管理するオブジェクトは途中だけ直すのは苦手だが、どこからでも、いくらでも置ける倉庫です。置くデータの使われ方に合わせて選びます。